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活動報告

学校給食の牛乳びんのリユースに関する調査・整理

調査の目的

 学校給食の牛乳びんは、乳業メーカーから消費地である学校に直接運搬(または給食センター等を経由)され、飲み終わった空きびんは乳業メーカーに回収されます。びんの散逸等は無く高い回収率が維持できるクローズドシステムと言えるこの学校給食の牛乳びんに着目、びんリユースの可能性について検討しました。

学校給食牛乳を取り巻く現状

 学校給食は学校給食法に基づき義務教育諸学校(小学校、中学校など)に提供されるものであり、国及び地方公共団体は学校給食の普及と健全な発達を図るように努めなければならないとされています。このうち学校給食用牛乳については、「学校給食用牛乳供給事業」として補助金が交付されている。都道府県牛乳普及協会が事業実施主体となり、独立行政法人農畜産業復興機構に対して都道府県を通じて事業計画・補助申請を申請、補助金が交付されます。
 平成23年度の学校給食用牛乳の供給量は約370千klで飲用牛乳生産量全体3,068千klの約12%を占めています。学校給食用牛乳の供給量は、ほぼ横ばいで推移しています。
 容器別容量比率は、74.3%が紙容器、25.6%がびん容器での提供となっており、全体の約1/4がびん容器で提供されています。

学校給食用牛乳の容器別推移
学校給食用牛乳の容器別比率の推移

 都道府県別の学校給食用牛乳の供給量とびんの割合を見ると、都道府県によってその構成比は大きく異なることが分りました。この理由として、学校給食用牛乳入札制度における入札条件に容器が含まれていないケースがあり、落札した供給乳業メーカーが、どの容器で提供するかによって決定されるため、地域の乳業メーカーの事情によって大きく違いが生じると考えられます。

都道府県別学校給食用牛乳の供給量とびんの割合

学校給食牛乳におけるびん容器での供給可能性について(インタビュー調査)

 学校給食牛乳の供給事業者、容器の選定方法について把握するため、都道府県の教育委員会、畜産担当部署、学校牛乳協会等にインタビュー調査を行い、結果を整理しました。
 その結果、以下のことが示唆されました。

  • 学校給食牛乳は、都道府県の教育委員会と畜産担当部署とが連携して要望をとりまとめ、供給乳業メーカーを選定する。
  • 毎年秋頃に、都道府県教育委員会が、各市町村教育委員会を通じて次年度の供給希望数量を把握。その際に容器についても要望を把握する都道府県もある。
  • 各市町村教育委員会においては、各学校の要望をとりまとめる役割であり、容器は市町村単位で必ずしも同一ではなく、あくまで各学校単位で容器の要望が決められていることが多い。都道府県としてなんらかの方針を定める事例は見つかっていない。
  • 都道府県教育委員会によってとりまとめられた供給数量をもとに、都道府県畜産担当部署が供給牛乳メーカーを選定する入札を実施する。供給地域、供給数量、供給方法・条件などを明らかにする。
  • この際、学校給食用牛乳供給事業を活用し、都道府県内で供給が統一されるよう調整するケースもある。(県内統一価格)
  • 供給乳業メーカーの入札時に容器(びん、紙パック)の条件を提示するケースと、容量・数量のみを提示するケースがある。
  • 学校給食牛乳の容器は毎年変更するようなものではなく、容器を変更してくるケースはまれである。

詳細調査に向けた方針(案)

学校給食牛乳におけるリユースびんの普及可能性を検討するためには、以下の整理が必要であると考えられます。

○ 各市町村・学校
どのような観点で容器を選定してきたのか・方針はあるのか、また、どのような点が明らかになればびんを選択するのか、と言った実態調査

○ 供給乳業メーカー
対象となる地域において、びん容器の供給がどの程度可能であるか、乳業メーカーでの設備・製造能力等を整理

○ びん容器を推進するための根拠・メリット
LCAによる容器間での環境負荷評価の結果では、一般に空きびんの回収率が高く、使用回数が増えれば、紙パックよりもびんの方が環境負荷は小さいと評価されている。一方重たい、割れる等の指摘もある。学校給食牛乳をびんで供給するメリット・デメリットを明らかにした上で、各市町村・各学校に訴求していく


<関連資料>


※ 平成24年度 環境省請負業務
  「平成24年度使用済製品等のリユース促進事業 びんリユースに関する報告書」
 平成25年3月 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 発行 より抜粋。